VIEW CAMERA ADAPTER G

VIEW CAMERA ADAPTER G -その3-

2018/06/15

カメラ

先日アップしたブログの続きです。
こちらからの方はよろしければ

VIEW CAMERA ADAPTER G -その1-

VIEW CAMERA ADAPTER G -その2-

もご覧ください。

VIEW CAMERA ADAPTER G

取り付け

さて、4×5の大判カメラのこと、それからカメラの仕組みについても「その1」と「その2」でざっと説明していきました。今回は最後それでどんな写真が撮れるのかです。まずこのVIEW CAMERA ADAPTER Gというアダプターを私はHORSEMAN L45というカメラにつけていますが、どうしてこれをヤフオクで購入したかというとFUJIFILMのカタログ上でこの大判カメラを使っていたからです。正直大判カメラも疎遠になってしまいそんなに詳しくなく、間違いのない買い物をしたかったのでメーカーが使っているカメラをそのまま真似しました。ただ、何をつかっているかはカタログ上では書いていなかったので、写真を凝視して形状やネジの位置などからHORSEMANだと決定しました。

ピントグラス

ピントグラスは外れる

購入したVIEW CAMERA ADAPTER GはHORSEMAN L45の後ろのピントグラスを外して装着します。もし同じことをしようしていて迷っている方がいらしたら何かの足しになるかもしれませんが、ピントグラスのボードはガラス面とボードの「枠」の部分がさらに外れるので、枠はカメラ側に戻してそこにVIEW CAMERA ADAPTER Gを取り付けます。このピントグラスをどう外すのかが結構わからなくて「このYouTube」動画がとても参考になりました。

VIEW CAMERA ADAPTER G

横位置

そして、カメラをつけるとこんな感じ。ここはそんなに難しくありません。しかも、クルッと回せば

VIEW CAMERA ADAPTER G

縦位置

縦にもなるのは便利です。大判カメラはカメラ自体が大きいので三脚を縦に回すのも一苦労ですから、これは当然ありがたいことです。

VIEW CAMERA ADAPTER G

電源ON

FUJIFILMのGFX50Sはミラーレスですから、像が逆さまにならず、しかも撮影する露出やホワイトバランスをシャッターを押す前に確認しながら撮影できるのは便利です。このアダプター自体そうですが、とてもマニアックでいながら純正品でこういうものを出してしまう。商品開発をされる姿勢が男前と私は思いますし、そういうところがとても好きです。だってつけるカメラは他社のものですからね。

最初の一枚

ISO500 F5.6 S1/15

で、撮れた最初の一枚目がこれ。ふるーいレンズですけどね。よい働きをしていると思います。でもただこれだけだと普通のカメラとかわらないので、この4×5につけた意味はなんだったのかというと兎にも角にもアオリの機能でした。アオリは前回もお伝えしましたが

アオリ

チルトダウン

こんな風にレンズとカメラの振りや軸をずらすことができる機能ですが、これをすることでピントの位置を変えることができるよになったり、例えば建物などの撮影で地面から上を見上げると上がすぼんだ形になってしまうパースを直すことができたりします。私は料理写真や物撮りなどが最近の仕事では多く、これを使いたいと思ったのはピントを奥までバッチリ合わせてと要求されつつ、ある程度クローズアップしているとなかなか全部にピントが合わなかったり、F値を上げて絞りを絞ればいいのですが、絞りすぎると回折現象というものを起こしてしまい写真が不鮮明になってぼやけた画像になってしまうというというのを解決したかったからでした。回折現象は若かれし20代ジュエリーの撮影をしていた時に絞りを最大に上げたら何だか写真がぼやけてしまい、「何故?」と思って調べたら、しかたのない物理現象でF値を抑えつつ全部にピントを行き渡らせるためにあえて引いて被写体を小さく写して撮影していました。でもこれは焦点を合わせるために画質を犠牲にしているということでもあるのでできれば妥協したくないのでなんとか解決したいと今回こういうことをしているのです。(回折現象についてはWikipediaにしっかり解説されているので、よかったらこちらをご覧ください。)

絞り

F5.6→F32

テスト撮影です。思ったようにしっかり行くかな。まずはF5.6からF32へ。このレンズはF64まであるので、F32でも2段分は開いています。当然上の写真のように絞ればピントが合う位置は広がります。でもまだ後ろの箱はボケている。

絞りテスト

F64からF32のアオリへ

箱までピントを合わせてくださいというオーダーが出た場合、よくやるのは「F値をもっと上げる」ですが、ただこの場合、最大に上げても左の写真からもわかる通りGFX50Sと書いてある箱の文字のあたりはまだややぼんやりしています。これでは仕事上はこの商品の紹介にはならなくなってしまうので、ここはピントを合わせたいなと思うのですが、そこで絞りはF32に戻しアオリを使ってみました。

アオリ

アオリの効果

するとどうでしょう。写真はさらに上の写真の拡大したものですが、F値が低いにもかかわらずF32でアオリをつかった方が奥までしっかりピントが合っています。ちなみにこの時のピントはマイナスドライバーの後ろのルーペにある「FOCUS」という文字に合わせています。うん、これなら仕事でも使えますね。むしろいつ使えるんだろうとワクワクしますが、カメラが重くなる分機動力も落ちるので、本当に困った時に適した使い方をしたいと思います。それからもうひとつ

娘

平面。

これは娘に被写体になってもらったのですが、奥行きがなく平面的なものを撮る時にアオリをあえてつかうと、普通ならピントが合うところがこんどは逆に合わなくなったりもします。左は顔全体には焦点は合っていて、右は目だけに焦点、並行している頭や唇右手などはボケています。これもこれで表現としては美しいですよね。最近のカメラは動画も撮れるわけですから、動画でこういう表現ってのもまた面白いのではないかなと思うわけです。

VIEW CAMERA ADAPTER G

VIEW CAMERA ADAPTER G

あれこれと3回に分けてお話ししましたが、私的には仕事上今の機材ではどうにもならなかったことがどうにかなるということと、いろいろなもので中古で手に入るという点で、表現の幅が広がりつつ安くできるというところはよかったのではないかと思います。そして、こうして大判カメラを久しぶりに触ってみると、写真が光学機器だということを改めて感じたところも大変勉強になりました。このVIEW CAMERA ADAPTER Gについては私も購入前にいろいろ記事を探してみたりしましたが、その需要のなさからか参考になるものがあまりなく大変困っていました。なので、この記事がこれからこの商品を購入される方にとって少しでも参考になれば幸いです。アダプターの話はここまでまた違うことでブログ書きまーす。

 

About Us

日本大学芸術学部卒業後、2003年に独立。広告、書籍、雑誌、web、などで撮影活動中。2011年に、フードフォト専門の写真教室「フェリカスピコ」を設立し、約4000人の受講者がいる。

Apple Store表参道、渋谷ヒカリエのイベント内でのレッスンも。「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)、「Rの法則」(NHK)などメディア出演も多数。
> 料理専門の写真教室 フェリカスピコ

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